細かなことが気になる親父の備忘録

インスタントラーメン袋と日常で気になった細かなことを書き留めていきます。

「セブン社長らを社員が労基署に告訴」のこの先が気になる

労働基準法違反容疑の告訴状を、長野労基署に提出したとのニュースが先週末流れた。この社員は地域合同労組の副委員長でセブンイレブンジャパン(東京)の社員だという。告訴内容を要約すれば、36協定の際に、労働組合がない会社の場合に行う労働者の過半数代表者の選出方法が違法で、協定は無効というものである。
私は専門家ではないが、いくつかの組織において36協定の会社側の実務を担っていたことがある。その経験もあって今回のニュースが気になった次第であるが、正直かなりマニアックなテーマなのだ。適切かは?だが、例えば一票の格差の問題で、その時の参議院選挙自体を無効で訴えるようなものだ。
違法な長時間労働でさえ、死者が出て裁判になるまで、労基署から何回も勧告を受けても是正されない実態を思うと、恐らく今回も是正勧告程度で終わってしまうような気がしてならない。

労基署も、従来からこの過半数代表の選出方法については、正しく行うようPRはしているものの、はたして対象となる企業でどのくらい意識しているところがあるかは極めて期待薄である。
<労基署の資料(参考)>

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というのも、まず労基署に36協定を提出しても、チェックはあくまで形式が整っているか否であり本当にその選出が正しく行われているかのチェックとか立ち入り調査等もない。ただ、最近児童相談所の人員が足りないと聞くが、労基署も同じでそこまで手が回らないのが実際なんだろうと思う。あくまで性善説にたった対応にならざるを得ないというのは理解できないわけではない。
また、労働者についてパート・アルバイト等の非正規雇用者も含めてというところも、実務的にはネックになる。一つ屋根で全員が同じ時間で働いていれば、朝礼の前に選出もできるかもしれないが、職場がいくつもあって働く時間も待遇も異なる人を、いったい誰がどう民主的な手続きでまとめていけるかは、会社の理解・協力なしには難しいだろう。
今回の告訴では、6千人以上いる労働者の内、234票しか得ていないとしている。
ということは、何らかの選任手続きはとられていたとも考えられる。労働者を狭い範囲の解釈で行っていたと釈明されたら、労基署がいきなり無効とは出来ないのではないかと思わざるを得ない。

今回の告訴を知って、裁判になって無効判決がでるか、労基署が本気になって指導強化が始まればどうしようかと、戦々恐々となっている担当者がいる企業はまだ良い方かもしれない。
現在、結構大きな企業でも労働組合がないところが多い。会社から、ある社員に過半数代表者になってくれないかと頼んだり、それこそ名前だけ貸してくれないかというケースが多いのではと推察する。実際に働く労働者の中でも、このルールを意識している人は少ないのではないだろうか。
どこに載っていたか忘れたが、次の面白いが笑えないマンガを紹介して終わりとする。

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