毎年正月用のしめ縄飾を購入していて気になっていたのが、この「しゃくし」という飾りで、漢字では「杓子」と書く。
店によっては「しゃもじ」として売っているところもある。
気になっていたのは、これはどこに飾るものかということ。
比較的安く売っているので、これでも良ければ玄関でも良いかと安直な考えである。
長年気になっていたものの、調べることも聞いてみることもなくもやもやしていた。
今回、妻の「聞いてみれば」の声に背中を押され、最初の「しゃくし」を売っていたおじさんに聞いてみた。まさに聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥の気持ちである。
返ってきた答えは「井戸や水道のところ」だそうだ。
そっか~。でもその答えを聞き、そもそも松飾って何だっけとなる。
この際「しゃくし」も含めて少し調べてみることにした。
今更の話なのでご存じの方はスルーして下さい。ドラパパの備忘録です。
まず「しゃくし」について検索してみる。日本大百科全書によると
杓子(しゃくし):汁や飯などをすくうための用具。女房詞(にょうぼうことば)では「しゃもじ」という。
とある。そうか「しゃくし」も「しゃもじ」も同じなんだと改めて納得。
驚いたのは「しゃもじ」が女房詞(にょうぼうことば)※ということだった。もっと突っめばこれだけでレポートが書けそうだが今回はこれ以上の深追いはしないこととする。
※女房詞:室町時代,宮中に仕える女房たちが使った一種の位相語。のちには一般化して町家の女性も使うようになった。(コトバンクより)
次にそもそも何でしめ縄飾りをするのかについてである。
これは 和雑貨のお店 和敬静寂 の案内ブログの記事が分かりやすかったのでここに引用しておきたい。要は豊作の神様をお迎えする目印であり、家の中を守る結界の意味とのことだ。
正月飾りは、初日の出のタイミングでやってくる「歳神様(お正月様)」を家にお迎えするためのものです。神様がいらっしゃる時の目印になると同時に、清められた家の中を守る結界の意味も持っています。
では、お正月にやってくる歳神様とはいったいどんな神様なのでしょうか。
実はこの神様は、歴史的に農耕民族である、私たち日本人にとってとても有り難い神様で、五穀豊穣をつかさどる神様なんです。つまりは豊作の神様です。
次にいよいよ何処に何を飾るかである。
ウィキペディアによれば
正月は歳神を迎える大切な行事とされ、古くは玄関だけでなく、神棚、仏壇、勝手口、かまど、井戸、便所、納屋、蔵、小屋など様々な場所に飾られた。
また、玄関に飾るものは注連縄、門口に飾るものは門注連、便所や納屋や諸道具に飾られるものは輪注連(わじめ)などと呼び分けられた。
またこんなしめ縄の会社のHPの記載があった。
なるほど、飾るのは玄関だけではないということか。先の「清められた家の中を守る結界の意味」も納得できる。
また、九州福岡の石村萬盛堂さんの歳時記に「しゃくし」の記載をみつけた。
冒頭のおじさんが教えてくれた「井戸や水道」は古くからのしきたりのようだ。玄関にはやめておこう。
しめかざりには主に5種類の形があるという。(しめかざり研究家・森須磨子さん)
「牛蒡(ごぼう)じめ」系 野菜のゴボウみたいに長くてまっすぐ。
「大根じめ」系 牛蒡じめの中央を太くしたもの。
「玉飾り」系 藁(わら)の縄を輪の形にしたもの。
「輪飾り」系 細く綯った縄を、小さく丸くしたもの。
「前垂れ」系 藁(わら)をのれん状に垂らした形。
そしてさらに色々な形の物が全国にはあるようだ。
今回の疑問のスタートとなった「しゃくし」はこの内の「輪飾り」の一つになる。
ま、しめ飾りの色々についてはこれ以上突っ込んでも消化不良になりそうなのでこの辺にしておきたい。引用が多い記事になりましたが備忘録としてご容赦ください。
最後に当地に各家に自治体から配られる紙の松飾りを紹介したい。
もう何十年も前から配布されているが、記憶では節約と松の保護を目的としている。玄関に貼って終わりである。これもまた一つの形ではあるが、近年貼る人が少なくなってきたような気もする。
今はやりのSDGsといえなくもない。またこの良さが見直されるかも知れない。
2021.12.29 細かなことが気になる親父 記