街角の自動販売機に、こんなシールが貼られていることを気にして
くれる人はどの位いるだろうか。
このシールは、日本自然エネルギー株式会社が約20年前から取り
組んでいるグリーン電力証書システムに、ダイドードリンクさんが
参加している証である。
簡単に言えば、風力等の自然エネルギーの電力を日本自然エネルギ
ー株式会社を通じて発電依頼(お金を払って)し、その実績を証書
の形で受け取り自然エネルギーの普及につなげると共に、企業PR
に活用する仕組みだ。
日本自然エネルギー株式会社HPより
2000年には、こうした企業の取組の他に「グリーン電力基金」とい
う一般の消費者が参加する自然エネルギー普及に向けた取り組みが
あった。これは、その基金に参加(寄付)している証としてもらえ
たシールである(関東エリアの例)。ネット検索しても出てこない
ので記録としてもここに残しておきたい。
一番最初の2000年シールは、ポストに貼っていたのでボロボロです。
こちらを簡単に説明するなら、電気料金に一口 500円を上乗せして
支払うと、電力会社が同じ金額をプラスして運営する財団に寄付
(1000円)し、財団は自然エネルギー普及のために、設備を設置す
る団体に助成をするものであった。
旧:財団法人中部産業・地域活性化センターHPより
あったと、過去形にしたのは、こちらのグリーン電力基金は約10年
前にその役目を終えたとして全国で終了したからである。
10年前何があったのか・・。
当時の菅首相が、「(菅直人の顔を)本当に見たくないのか」という
フレーズを3回繰り返し、法案を通す「作戦」を異常なテンションで
語った場面は、何度もテレビで流され、もう「本当に見たくない」。
そして導入されたのが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)
である。これは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの再生可能
エネルギー源を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間
電気事業者が買い取ることを義務付ける制度で、2012年7月1日にスタ
ートした。
電気事業連合会HPより
そして今、寄付に賛同する者だけだったグリーン電力基金とは違い、
自分の意思とは関係なく全員がその買取にかかる費用を負担させられ
ている。
第二の税金と言ってもいいだろう。現在その金額は、自宅の電気使用
量1kWh当たり2円95銭、約3円にもなっていて、我が家では1500円を
超えている。一口500円を自分の意思で寄付していたころの3倍以上だ。
確かに爆発的に太陽光発電が始められることにより、パネルの単価は
下がり普及にも寄与しているかもしれないが、私の1500円が太陽光で
儲けようとしている人に流れていると思うと理不尽さを感じる。
また、自然の山を削り太陽光パネルを設置しての発電商売。自然エネ
ルギーを得るために自然を破壊している様は、異様としか思えない。
また昨今の台風で破損された設備の無残さには言葉を失う。
そして太陽光発電パネルの耐用年数15年とすると、まもなく大量の
産業廃棄物に姿を変える時がくる。その処理にかかるエネルギーと費
用はまた大きなものになるだろう。
資源の無い日本。油も全て輸入の状況下で、原子力も石炭もダメダメ
などときれいごとばかりで本当に大丈夫なのだろうか。
いつのまにか、あの石油ショックを忘れ、我々の生活が極めて脆弱な
エネルギー事情の上にある事も忘れているのではないだろうか。
自販機シールから、二度と見たくないあの顔を思い出してしまった。
2020.01.28 ドラパパ記